「万引き・窃盗」に関するお役立ち情報
クレプトマニアの特徴と弁護士ができること
1 クレプトマニアとは
クレプトマニアは、精神疾患の一つとされており、依存症の一種とされています。
クレプトマニアは、アメリカにおける精神疾患の診断基準の一つであるDSM―5では、「窃盗症」と表記されており、診断基準として、以下のものが示されています。
- A 個人的に用いるのでもなく、またはその金銭的価値のためでもなく、 物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される。
- B 窃盗におよぶ直前の緊張の高まり。
- C 窃盗を犯すときの快感、満足、または解放感。
- D 盗みは怒りまたは報復を表現するためのものでもなく、妄想または 幻覚に反応したものでもない。
- E 盗みは、行為障害、躁病エピソード、または反社会性人格障害ではうまく説明されない。
2 クレプトマニアの特徴
クレプトマニアの特徴は、盗みたいという衝動を、自分ではコントロールできないところにあります。
たとえば、
- 〇 買い物するつもりで入店するが、商品を目の前にすると盗んでしまう
- 〇 どうして盗むのかと問われても自分でもわからない
- 〇 万引きに成功するとそれまでのモヤモヤがスカッとする
- 〇 過去に何度も見つかり逮捕もされているのに万引きをやめられない
- 〇 逮捕されることはわかっているのに、商品を見ると盗みたい気持ちが抑えられない
などといった点が見られます。
また、クレプトマニアは、過度なダイエットや精神的ストレスを抱えている人が陥りやすいといわれることがあり、摂食障害との関連も指摘されています。
3 弁護士ができること
もし、担当する万引き事件の被疑者がクレプトマニアであるといっても、まずは被疑者が盗んだものについて被害弁償するなどの示談交渉を試みるなど、刑事弁護活動として基本的に行うことは変わりません。
その上で、被疑者がクレプトマニアであることについては、今後の再犯を防止するために通院、治療を受けていることを主張するほか、万引きの犯行自体がクレプトマニアによるものであって、被疑者に責任能力がない又は低下していることを主張することが考えられます
その際、クレプトマニアの治療をしている病院で治療を受けていれば、主治医の先生に依頼するなどして、診断書を発行してもらうほか、今後の治療方針や責任能力について意見書を出してもらうことが考えられます。
また、被疑者がまだ治療を受けていなければ、クレプトマニアの治療をしている病院に通院してもらい、主治医の先生に診断書や意見書の作成を依頼することになります。
それらの診断書や意見書を基にして、被疑者の責任能力や、再犯防止等の情状関係について、弁護士が意見書を作成し、被疑者の不起訴処分か、起訴されるにしても処分の低減を求めていくことになります。